67歳男性.アルコール性肝硬変を背景とした肝細胞癌に対し,肝動脈塞栓術,ラジオ波焼灼術などの治療が繰り返されていた.2013年4月に発熱および腹部膨満感を主訴に来院し入院.CTでは腹水,肺転移を認め,腹水中の白血球数が増多していた.特発性細菌性腹膜炎の診断にて抗生剤投与などの治療を行うも改善せず,末梢血白血球数は47,800/μLに達した.肝不全が進行し第20病日に死亡した.剖検では多数の腹膜播種結節を認め広範な癌性腹膜炎を呈し,癌細胞はG-CSFが陽性であった.本症例はG-CSF産生肝細胞癌により癌性腹膜炎をきたしたものと考えられた.