肝臓
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レポート
第19回 全国原発性肝癌追跡調査報告(2006~2007)
(日本肝癌研究会追跡調査委員会)
工藤 正俊泉 並木市田 隆文具 英成國土 典宏坂元 亨宇高山 忠利中島 収松井 修松山 裕田村 利恵前原 なつみ上妻 智子
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2016 年 57 巻 1 号 p. 45-73

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抄録

第19回全国原発性肝癌追跡調査においては,482施設から2006年1月1日から2007年12月31日までの2年間の20,850例の新規症例と34,752例の追跡症例が集計された.追跡症例の有効回答率は60.0%であった.基礎統計は,第19回新規登録症例を対象として死因,既往歴,臨床診断,画像診断,治療法別の各因子,病理診断,再発,剖検についてまとめた.第18回調査と比較し,肝細胞癌における臨床診断時の高齢化,女性の増加,非B非C肝癌の増加,腫瘍径の縮小の傾向が,治療においては局所療法におけるラジオ波焼灼療法の増加が認められた.1996年から2007年まで新規登録症例の中で最終予後が生存または死亡となった症例(不明を除く)について肝細胞癌,肝内胆管癌,混合型肝癌の治療法別,背景因子別累積生存率を算出した.肝細胞癌については腫瘍個数,腫瘍径,肝障害度を組み合わせることにより背景因子を揃えて,治療法別(肝切除,局所療法,肝動脈塞栓療法)の累積生存率を算出し,また,1980年から2007年までの新規登録症例を3期に分け,累積生存率を算出した.新規登録症例数は経時的に増加し,肝細胞癌の予後の改善が著しいことが明らかとなった.本追跡調査が原発性肝癌の研究および診療の進歩に役立つことを期待する.

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© 2016 一般社団法人 日本肝臓学会
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