2016 年 57 巻 11 号 p. 571-576
薬物アレルギーの検査であるリンパ球刺激試験(drug-induced lymphocyte stimulation test;DLST)の陽性率は,約4割と報告されているが,偽陽性などの問題がある.今回,薬物性肝障害,薬物アレルギーの患者において2回目のDLSTが起因薬物同定に有用か検討した.対象は2009年から2015年の間に当院で同じ薬物に対して2回DLSTを行った症例を抽出し,後ろ向きに検討した.2回目の測定までは,中央値で82(27-247)日であった.1回目で,原因薬物の同定感度は53.9%,特異度61.5%,陽性適中率(PPV)58.3%,陰性適中率(NPV)57.1%であったが,2回目では感度87.5%,特異度72.2%,PPV58.3%,NPV92.9%であり,感度・特異度,NPVが向上した.DLST2回目測定は起因薬物同定に有用と考えられた.