肝臓
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症例報告
5年にわたる経時的な経過観察の中で急激なエコー上変化をきたした原発性硬化性胆管炎の1例
中川 美奈朝比奈 靖浩村川 美也子永田 紘子金子 俊大谷 賢志北畑 富貴子新田 沙由梨櫻井 幸井津井 康浩東 正新柿沼 晴今田 安津子伊藤 崇谷合 麻紀子橋本 悦子田中 雄二郎渡辺 守
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2016 年 57 巻 8 号 p. 382-390

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抄録

症例は26歳女性.2008年(21歳時)健康診断で肝機能障害を指摘され当科紹介受診となった.各種ウイルスおよび自己抗体は陰性で,BMI 25.1(152 cm/58 kg)と軽度肥満と,美容のためにビタミン剤などのサプリメント摂取歴を認めたことから食事運動療法および摂取サプリメントを中止し経過観察となったが,生活習慣の指導,肝庇護療法を開始した後もトランスアミナーゼは高値のまま推移した.2010年,2012年に施行した肝生検では確定診断には至らず,その後それまで限局性だった高エコー領域が肝全体に多発し,腫瘍マーカーの著明な上昇を認めたため,悪性腫瘍鑑別のため2013年3回目の肝生検施行となった.生検の結果,悪性疾患の合併はないものの急激な線維化進展を認め,直接胆道造影の結果から原発性硬化性胆管炎(PSC)の確定診断となった.本症例は5年間の経過中,急速な線維化の進行に伴い,特異なエコー画像所見と病理所見が観察された貴重な症例と考え報告した.

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© 2016 一般社団法人 日本肝臓学会
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