2016 年 57 巻 8 号 p. 405-411
症例は79歳女性.25年前にC型慢性肝炎と診断され,その後クリオグロブリン関連腎症と診断された.C型肝炎ウイルス(HCV)排除とクリオグロブリン血症の改善のために様々なInterferon(IFN)-based therapyを行ったものの無効であった.今回,蛋白尿と腎機能の急性増悪から致死的な心不全を併発して入院した.体液コントロールとクリオグロブリン除去による蛋白尿改善を目的に血漿交換/血液透析併用療法を開始し,心不全と体液貯留が改善した後,daclatasvir/asunaprevir併用療法を二重濾過血漿交換下に施行した.その結果HCV-RNAは陰転化し,蛋白尿/腎機能は著明に改善した.IFN抵抗性だったHCV関連続発性クリオグロブリン腎症患者に対して,IFN-free regimenでHCVを排除することで腎症の著しい改善が得られた一例を経験し,示唆に富む症例と考え報告する.