肝臓
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症例報告
全身性強皮症に自己免疫性肝炎と原発性胆汁性胆管炎のオーバーラップ症候群を合併し,瘢痕肝の所見を呈した一例
山下 信行宮城 友豪下田 慎治堀 史子谷本 博徳一木 康則山元 英崇野村 秀幸
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2016 年 57 巻 9 号 p. 487-495

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抄録

症例は60歳代男性.200X年に限局皮膚硬化型全身性強皮症(SSc)と診断された.無投薬で経過観察を受けていたが,初診から6年後に肝障害が増悪し入院となった.血液検査では肝胆道系酵素の上昇と抗ミトコンドリア抗体陽性を認めた.抗核抗体・抗セントロメア抗体はSSc診断時から陽性であった.また免疫グロブリン値(IgG,IgM)はいずれも基準内であり,画像検査では横隔膜下の肝臓に脱落壊死を認めた.肝生検の結果もあわせて自己免疫性肝炎と原発性胆汁性胆管炎のオーバーラップ症候群と診断し,副腎皮質ホルモンとウルソデオキシコール酸を投与した.肝胆道系酵素は速やかに改善し,IgG,IgM値も治療前の半値以下に低下した.肝臓の脱落壊死部分は萎縮し,肝の変形が残った.SScにオーバーラップ症候群が合併した症例は,これまでに数例の報告しかなく,貴重な症例と考える.

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© 2016 一般社団法人 日本肝臓学会
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