症例は50歳代男性.肝機能障害と肝腫瘤の精査目的で入院となった.血液検査では,血清肝酵素の軽度上昇,高度の高フェリチン血症,トランスフェリン飽和度高値を認めた.腹部CT・MRIで,びまん性鉄沈着が疑われる肝実質内に径15 mmの単発の腫瘤を認め,肝細胞癌を疑い施行した腫瘍生検でdysplastic noduleと診断された.また,非腫瘤部の肝細胞およびKupffer細胞には強い鉄沈着を認め,線維化はF2であった.鉄過剰症に対して瀉血療法を開始した.
6カ月後,同腫瘤は20 mm大に増大し,画像上hepatocellular carcinoma(HCC)への進展が強く示唆されたためRFAを施行した.同時に採取した腫瘤の病理組織はmoderately differentiated HCCであった.その後の遺伝子解析でSLC40A1遺伝子にヘテロ接合型変異を認め,フェロポルチン病B型と診断したが,血清ヘプシジン-25は6.9 ng/mLと低値を示した.瀉血導入後肝酵素は徐々に低下し,この3年間HCC再発を認めていない.本邦では希少疾患であるフェロポルチン病B型に発生したHCCの1例を報告した.