2020 年 61 巻 1 号 p. 18-23
Edwardsiella tarda(以下E. tarda)による肝膿瘍は稀であるが,基礎疾患がある場合は重症化する場合もあり注意を要する.症例は79歳女性,C型慢性肝炎治癒後および肝内結石に対し肝左葉切除術の既往がある.悪寒と発熱を主訴に来院し,腹部CTでS5/8に50 mm大の膿瘍を認め入院となった.入院6日前に施行した腹部超音波検査では,肝膿瘍は指摘できなかった.入院時の血液培養からE. tardaが検出され,入院翌日にPTAD(percutaneous transhepatic abscess drainage)を行ったところ膿汁からE. tardaを含め3種類の細菌が検出された.E. tardaによる感染症は急速に悪化する場合があるため,早急な治療介入が必要と考えられる.