肝臓
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症例報告
昏睡型急性肝不全および呼吸不全の病態を呈した脾原発悪性リンパ腫の1剖検例
厚東 由里佳石川 剛佐々木 嶺大野 高嗣松田 崇史佐伯 一成日高 勲高見 太郎伊藤 浩史坂井田 功
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2021 年 62 巻 6 号 p. 349-356

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抄録

症例は70歳代後半,女性.傾眠傾向・体動困難を主訴に近医を受診し,意識障害を伴う肝障害が認められたため前医に紹介された.同院での入院精査を経て肝腎機能障害・播種性血管内凝固に対する精査加療目的で当院へ転院となった.超音波およびCT検査で肝腫大はなく,肝内に腫瘤性病変も認められなかった.一方,脾腫は著明で(529.5 cm3),脾内に13 mm大の低吸収域が認められた.入院同日よりステロイドミニパルス療法などの集学的治療を開始した.肝腎不全に加えて,第3病日に両側びまん性肺胞出血による呼吸不全も併発し,人工呼吸管理のもと加療を継続したが,原因が特定できないまま第17病日に死亡した.病理解剖の結果,脾原発悪性リンパ腫(びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫)の肝・肺浸潤の診断に至った稀少症例を経験したので,報告する.

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© 2021 一般社団法人 日本肝臓学会
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