2026 年 67 巻 4 号 p. 331-338
症例は60歳代女性.C型肝硬変SVR後.肝細胞癌(hepatocellular carcinoma:HCC)左腎転移に対して複数の全身療法を施行.20xx+10年5月ソラフェニブ開始15日後,心窩部痛あり,血清アミラーゼ上昇,腹部CTから急性膵炎と診断.他の膵炎原因を除外し,保存的治療に反応が乏しく,重症化した経過から,既往の免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitors:ICI)治療を背景とした免疫関連膵障害の可能性を考慮し,第6病日よりステロイドパルス療法を施行後,全身状態は速やかに改善した.保存的治療に反応が乏しいような重症例や遷延例では,免疫学的背景を考慮した治療戦略を検討することが臨床的に重要となる可能性がある.本症例は,多剤治療時代のHCC診療において膵炎の病態評価を再考する契機となる一例と考えられた.