肝臓
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高コレステロール血症,赤血球・血小板増多症をともなった原発性肝細胞癌の1例
鮫島 美子岡崎 俊治荻野 広太郎斉藤 国彦
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1977 年 18 巻 10 号 p. 773-779

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抄録

症例は20歳男子にみられた原発性肝細胞癌で,paraneoplastic syndronmeとして高コレステロール血症,赤血球・血小板増多症を伴ったものである.血清コレステロール値748mg/dl,赤血球数674万,Hb. 17.5g/dl, Ht.56%,血小板数509,000で自覚症状発現後49日目に死亡した.剖検所見は肝右葉に小児頭大の腫瘍塊があり,組織学的には索状型の肝細胞癌で,左葉に乙型肝硬変の像がみられた.脂質分析は肝腫瘍部と血清について実施,腫瘍部総脂質は湿重量100g当り7.367g,ジン脂質1.196gで,血清総脂質1,316.3mg/dl,リン脂質756.9mg/dlであった.ガスクロマトグラフィーによる肝腫瘍部総脂質の脂肪酸構成は,オレイン酸の著増とパルミチン酸・ステアリン酸の減少がみられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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