肝臓
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閉塞性黄疸肝におけるアンモニア代謝について
大和田 康夫小山 研二高木 靖姉崎 巧佐藤 寿雄
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1977 年 18 巻 5 号 p. 333-340

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抄録

ラットの閉塞性黄疸,急性CCl4障害肝についてArginine Synthetase活性及び肝スライスでのアンモニア処理能を測定し次の結果を得た,(1) 肝スライスでの尿素生成量,アンモニア処理量は胆道閉塞により減少し,特に尿素生成量は閉塞期間の延長とともに減少した.ATP,オルニチンの添加効果も減少し閉塞6週群で特に著明であった.(2) AS活性も閉塞期間の延長とともに低下し,閉塞6週群では著明に低下した.(3) 急性CCl4障害肝ではAS活性は閉塞6週群より有意の高値を示したが,アンモニア処理能は著しく障害されており,ATP,オルニチンの添加効果も大であった.以上より閉塞性黄疸肝では肝尿素サイクル酵素活性の低下により,閉塞期間が長期に及ぶと容易に肝不全に陥る可能性があるものと思われた.一方急性CCl4障害肝では閉塞性黄疸肝とは異なった重症な代謝障害による二次的な肝尿素サイクル回転不全の存在が推定された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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