肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
肝疾患とリンパ球反応とくにPHA反応リンパ球とEロゼット形成リンパ球の動態
菅 大三竹本 忠良
著者情報
ジャーナル フリー

1977 年 18 巻 7 号 p. 455-463

詳細
抄録

各種肝疾患患者の細胞性免疫能を末梢血液中のphytohemagglatinin (PHA)反応リンパ球とEロゼット形成リンパ球とを指標として調べ,両リンパ球の動態と肝疾患の病態や予後との関係を検討した.その結果,肝疾患ではPHA反応リンパ球は健康正常人に比較し統計学的に有意の低下(P<0.01)がみられ,病状の変化をよく反映した.一方Eロゼット形成リンパ球も健康正常人とのあいだに有差意は認められたが(p<0.05),病状の変化を反映しない症例も多く,しばしば両者の値が解離する症例がみられた.この傾向は肝硬変症で多くみとめられ,肝疾患の病態,予後をしるうえでは,Eロゼット形成リンパ球を指標とするよりも,PHA反応リンパ球を指標とする方が有用であると思われた.したがってPHA反応リンパ球率の低下した症例は厳重に経過を観察するべきである.

著者関連情報
© 社団法人 日本肝臓学会
次の記事
feedback
Top