肝臓
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閉塞性黄疸における腎皮質ミトコンドリア機能について
伊藤 賢司小山 研二渡部 秀一松原 修二
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1979 年 20 巻 12 号 p. 1246-1253

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抄録

閉塞性黄疸の重篤な合併症の1つである腎不全の病態を明らかにする目的で,ラットに閉塞性黄疸を作成し,腎機能,腎皮質ミトコンドリア(以下腎Mtと略す)機能を検索し,さらに血圧低下および腎動脈遮断による腎不全モデルについても同様の検討を行なった.クレアチニンクリアランス等の腎機能には変化はみられなかったが,腎Mt呼吸能の指標であるRC, P/O, S2, ATP生成能は胆管閉塞期間の延長とともに低下した.cyt a, cyt cはともに胆管閉塞により減少したが,cyt aは比較的よく保たれていた.latent ATPaseの活性化率は閉塞例で高く,Mt損傷の存在が推定された.脱血,低血圧負荷により腎機能に変化はみられなかったが,腎Mt呼吸能は長期閉塞例で低下し,回復能も乏しかった.腎動脈遮断ではほぼ全例に腎不全が発生し,黄疸腎Mt呼吸能は著しく障害され,長期間黄疸のある例は低血圧などを契機に生ずる腎不全の準備状態にあることが示唆された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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