1979 年 20 巻 2 号 p. 175-179
培養ヒト胎児細胞にたいする末梢血リンパ球のcytotoxicityは肝細胞癌患者の25%にみとめられた.このようなリンパ球の末梢血液中への出現は一過性のものではなく,比較的長期間にわたって存在した.また肝細胞癌の末期の症例にcytotoxicityが高い傾向がみられた.
培養ヒト胎児細胞にたいするcytotoxicなリンパ球は慢性肝疾患患者においてもみとめられた.これらは肝生検所見から活動性の強いものやdysplasiaの像の存在するものであった.以上により,培養ヒト胎児細胞にたいするcytotoxicity testは,肝細胞癌や前癌状態の判定に役立ちうる可能性をもっているものと思われる.