肝臓
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遺伝体質面および細胞性免疫面よりみたasymptomatic HBsAg carrierの成立機序について
熊谷 幹男
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1979 年 20 巻 4 号 p. 339-345

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抄録

Asymptomatic HBsAg carrierおよびcarrier多発家系を対象にHLA, T.B.細胞population, HBsAgに対する白血球遊走試験(LMT)について検索した.(1) CarrierとcontrolのHLA phenotypeでは,A, B locus共に有意差は認められなかった.(2) Carrierでは,T細胞populationはcontrolに比し低値を,B細胞populationは高値を示し,その差は有意だった.(3) T細胞populationの低いcarrierでは,HLA, BW22, BW54およびA2-BW54, A10-B W54の組みあわせがcontrolに比し高頻度にみられ,その差は有意だった.(4) Carrier多発家系において各家族のcarrierに共通haplotypeが認められた.(5) HBsAgを添加したLMTでは,carrierの7例中6例にHBsAgに対する細胞性抗体の欠如が認められた.(6) 以上の成績より,carrierの成立に一部症例では細胞性免疫,遺伝体質的因子の関与が推測された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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