抄録
肝疾患の遷延慢性化の原因として,近年細胞性免疫,体液性免疫の関与という観点から多くの検索がなされている.著者は,これらに関係する一つの指標として,末梢血中のT細胞とB細胞populationを算定し,同時に施行した腹腔鏡検査所見及び生検肝組織像と対比し検討した.対象症例は腹腔鏡及び肝組織診断で確診した肝疾患158症例である.急性ウイルス肝炎では,発症後2週間以内のT細胞比率は低値を示すが,2週間以後はほぼ正常範囲である.慢性肝炎において非活動型でT細胞比率が正常範囲であるのに対し,活動型では明らかに低値である.アルコール性肝炎,肝硬変症においてもT細胞比率は低値を示す.一方B細胞比率では,肝硬変症で対照例に比し,高値を示すほかは疾患別に変化はみられない.肝組織像との関係について検討すると,T細胞比率は肝小葉内細胞浸潤,巣状壊死の程度に比例して低値を示す.B細胞比率については,組織像との間に一定の関連を認めなかった.