犬に胆嚢摘除・総胆管結紮を行って閉塞性黄疸を作成し,これに肝切除および黄疸軽減手術を併施して実験的に閉塞性黄疸肝の切除限界,および術後代謝の変動を検索した.黄疸作成後1週で70%肝切除兼黄疸軽減手術,2週で40%肝切除兼黄疸軽減手術が可能であるという成績が得られた.黄疸肝切除前の血液生化学的検査成績と生存率との関係をみると,血清アルブミン値は肝切除後の予後の判定に有用と考えられたが,その他の一般肝機能検査成績と肝切除後の生存率との間には相関はみられなかった.肝切除後4週のwet liver weightでの肝再生率は,黄疸肝の方が正常肝よりも高値をとったが,組織学的には黄疸肝切除後4週でもなお肝小葉中心域に胆汁うっ滞像が認められた.
