肝臓
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胆道内発育により閉塞性黄疸を呈した肝細胞癌の1例
岩崎 利通田崎 睦夫井上 淳小酒 浩黒田 清西川 正光三好 洋二上甫木 洋一杉原 徹彦五明田 学
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キーワード: 閉塞性黄疸, 肝細胞癌
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1980 年 21 巻 9 号 p. 1236-1241

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抄録

肝細胞癌が胆道内に発育し,閉塞性黄疸の転帰をとるicteric type hepatomaの1例を剖検にて確認したので,若干の考察を加えて報告する.
患者は49歳男性,前胸部激痛,上腹部痛で発症し,発熱,黄疸などの胆石発作様の症状を呈した.内視鏡的膵胆管造影(以下ERCP)所見は総肝管および胆嚢が造影されず,Vater乳頭より胆道出血を認めたため,肝管癌または胆嚢癌を疑った.手術所見は,視診,触診上肝癌を思わせる腫瘤は認めず.術後の胆嚢瘻からの胆道造影では,総肝管,左右肝管の拡張及び陰影欠損,右肝内胆管の拡張,左肝内胆管の造影されないことより,総肝管または左肝管に発生した腫瘤を疑った.
術後2カ月で死亡.剖検を行った結果,肝左葉に肝細胞癌を認め,その胆管内発育による閉塞性黄疸であることが判明した.
本邦におけるicteric type hepatomaの報告例について若干の検討を加えて報告した.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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