肝臓
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肝tissue oxygenationと肝障害
四塩化炭素肝障害の発症と再生,修復過程の解析
鎌田 武信岸田 隆佐藤 信紘目連 晴哉李 和泉阿部 裕
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1982 年 23 巻 11 号 p. 1249-1255

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抄録

肝の変性壊死,再生修復過程の肝tissue oxygenationを四塩化炭素投与ラットをモデルとして検討した.肝のtissue oxygenationは,肝組織酸素分圧(組織酸素電極法),肝局所血液量(反射スペクトル解析),肝の呼吸活性から検討し,さらに,血清GOTおよび肝の組織学的検索を併せ行なった.その結果,四塩化炭素投与後の肝の変性壊死は,先ず肝組織細胞の呼吸活性が低下し細胞変性が起こり,次いで肝微小循環不全が加わり,広汎な変性壊死が起こるものと考えられた.再生修復は,組織細胞の呼吸活性の改善を機として起こり,肝組織酸素分圧が上昇したが,肝血流の増大は,遅れて起こる事が判明した.肝組織酸素分圧および肝血液量の測定が肝組織の変性,壊死,再生,修復の病態把握に有用と考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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