肝臓
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D-Galactosamine肝炎ラットにおける肝nascent peptide chainsおよびDNA合成について
とくにGlucagon-InsulinおよびPrednisolone投与の影響
加納 隆小島 孝雄河合 秀子清水 勝武藤 泰敏高橋 善弥太
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キーワード: 肝細胞壊死阻止, 肝再生
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1983 年 24 巻 3 号 p. 261-270

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抄録

虚血による肝細胞の運命を最もよく反映する生化学的指標とみなされるnascentpeptide chains (NPC)に着目しD-Galactosamine障害肝におけるその動態が肝細胞壊死の可逆性と再生への進展を早期に予知する指標になり得るか否かを検討した.特にGlucagon-In-sulin (G-I)及びPrednisolone (PSL)のNPC並びにDNA合成能に及ぼす効果を観察した。その結果,G-I及びPSLはともに投与12時間後に有意にNPC合成を増強させ,また血清学的ならびに組織学的にも肝細胞壊死の進行を抑制させた.しかし,G-Iは肝DNA合成を有意に上昇させたのに対しPSLは有意に抑制した.以上より,NPCは肝細胞壊死の阻止過程を早期に予知する良い指標になり得ると考えられ,G-I及びPSLはともにこの作用を増強させた.しかし,肝再生に対してはG-Iは促進的に作用したのに対し,PSLは逆に抑制的に働いたことから副腎皮質ステロイドの大量長期投与は慎重であるべきと考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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