肝臓
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肝原発横紋筋肉腫と肝細胞癌の併存した1例
高岡 愛明毛利 多美子明山 耀久吉原 博子竹谷 直喜井上 敦雄南川 辰夫虎頭 廉
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1983 年 24 巻 3 号 p. 320-324

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抄録

肝右葉に横紋筋肉腫と肝細胞癌の併存した極めて稀な1例を経験したので報告する.症例は55歳,男性,高熱と右季肋部痛を主訴として来院した.肝シンチグラムで腫大した肝右葉の大部分はSpace occupying lesion (SOL)で占められ,腹部CTでは肝右葉に大きなmultiple low density areaを認めた.腹部血管造影では腫瘤の大部分はavascularで,一部hypervascularなところもあった.α-フェトプロテインは陽性で,経過中急激な肝腫大を来し,腹腔内出血にて死亡した.剖検では肝重量は3,700g.で,肝右葉に出血,壊死の強い大きな腫瘍に隣接して別の直径5cmの球状の腫瘍を認めた.組織学的に大きな腫瘍は横紋筋肉腫で,隣接の球状腫瘍はEd III型の肝細胞癌であった.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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