要旨:リアルタイム断層ドップラー血流映像装置(real-time tow-dimensional Doppler echography: 2-D-Doppler)により興味ある所見が得られたヘパトーマ症例4例を呈示し,同装置のヘパトーマ観察に於ける有用性について検討した.(1) 2-D-Dopplerは血流のカラー表示により腫瘍内外の脈管の同定と追跡を容易にした.(2) 腫瘍内外を走る脈管内の血流方向,速度を色調ないし輝度の違いとして把えることができた.(3) 2-D-DopplerはTAE前後の腫瘍内動脈血流の変化や腫瘍内のA-Pシャントの認知にも有用であった.(4) 肝硬変症のような遅い門脈血流のカラー表示は困難な場合が多く,今後改良すべき点と考えられた.