肝臓
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薬物代謝酵素誘導剤によるgalactosamine肝障害防御効果-phenobarbital, 3-methylcholanthrene, polychlorinated biphenylを比較して-
村瀬 登志彦増田 理恵沢村 隆也塩崎 安子鮫島 美子
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1985 年 26 巻 9 号 p. 1159-1167

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抄録

galactosamine (gal)肝障害ラットにおよぼす薬物代謝酵素誘導剤の影響について検討した.polychlorinated biphenyl (PCB), phenobarbital (PB)および3-methylcholanthrene(3MC)によりそれぞれSD系雄性ラットに酵素誘導をかけた後,galを腹腔内に1回投与,経日的に薬物代謝能の変動を観察した.gal単独投与群では3日後にcytochrome P450量は前値の34.7%にまで低下したのに対し,PCB, PB, 3MC群ではそれぞれ96.3%, 89.1%, 63.8%にとどまった.cytochrome b5量,NADPH-cytochrome creductase活性もほぼ同様の傾向を示した.またgal単独群では,投与3日後にaminopyrine, aniline, benzo(a) pyreneの代謝活性も前値の13.8%~30.3%に低下したが各誘導群では54.6%~98.0%と軽度の障害にすぎなかった.しかし肝障害抑制効果は,誘導剤により異なり,著しいものより,PCB, PB, 3MCの順であった.さらに組織学的にもこの肝障害抑制効果は証明された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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