1986 年 27 巻 12 号 p. 1708-1713
CT上のある部分の造影剤の消長を曲線上で解析する,いわゆる,dynamic CTが検討されているが,私たちはこれら局所の変化を濃度差によって視覚的に表現するblood flow mappingを試みた.すなわち,肝横断面のある点の造影剤流入流出状況をgray scaleによってimageとして表現させた.造影剤の最高濃度に達する時間での描写では,対照では肝横断上にびまん性に濃灰色の描写が得られたのに対して慢性肝炎では淡灰色がびまん性に,肝硬変では淡灰色に黒色部が混入しまだらに描写された.造影剤通過時間を同様の方法で画像化すると,対照,慢性肝炎,肝硬変の順にびまん性に濃灰色から淡灰色に,さらに,淡灰色と黒色のまだらな分布に描写された.
以上,本法は,肝血流動態分布の客観的,経時的解析を可能ならしめる有力な手段となり得ると思われた.