肝臓
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B型肝炎ウイルス感染早期の血清中HBV-DNAの動態
発症前より経過を観察できたHBV初感染後キャリア化した2症例と,定型的B型急性肝炎2症例の比較
田中 栄司今井 康晴袖山 健吉沢 要中村 信清沢 研道古田 精市赤羽 賢浩
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1987 年 28 巻 9 号 p. 1143-1148

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抄録

成人期にHBV初感染後キャリア化した2例における血清中HBV-DNAの経時的変化を,発症早期より経過観察が可能であった定型的B型急性肝炎2例のそれと比較し,さらにキャリア化の2例と最近4年間に当教室において経験した定型的B型急性肝炎42例の肝機能検査成績を比較検討した.血清中HBV-DNAの推移は,定型例では肝炎発症早期に一過性に陽性となり以後陰性で持続したのに対し,キャリア化例では肝炎発症早期に陽性であったものがS-GPTのピークと共に一過性に陰性化した後,肝炎回復に伴い再び上昇し以後陽性で持続した.キャリア化例における血清中HBV-DNAの一過性の低下は,生体のウイルスに対する排除反応の結果と考えられ,同様の症例では普遍的に見られる現象であることが予測された.キャリア化例におけるS-GPTおよびTotal Bilirubinの最高値は,定型例42例のものと比較し明らかに低値でありキャリア化例における肝炎は軽症であった.

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