肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
Lymphokine activated killer (LAK)細胞を用いた養子免疫 療法の肝細胞癌患者に及ぼす免疫学的変動とその臨床効果
藤川 正直西原 利治大西 三朗
著者情報
キーワード: 養子免疫療法, 肝細胞癌
ジャーナル フリー

1987 年 28 巻 9 号 p. 1202-1210

詳細
抄録

肝細胞癌患者(HCC)においてLymphokine activated killer (LAK)細胞を用いた養子免疫療法の基礎的検討を行ない,1) HCCにおいてLAK活性は低値である,2) Recom-binant interleukin 2 (rIL-2)の全身投与によりLAK活性は増強される,3) LAK活性維持にはLAK活性誘導の際に添加するrIL-2濃度が150ng/ml以上が望ましい,4) LAK細胞の静脈内投与翌日,肝切除標本より採取した腫瘍周囲に浸潤したリンパ球は自己肝癌細胞に対して細胞傷害性に働くことを明らかにした.これらの成績を基に末期HCC 11例にrIL-2 15μg連日投与下に1~10×109個のLAK細胞を週1~2回点滴静注による養子免疫療法を施行した.発熱と好酸球増多以外には重篤な副作用を伴うことなく安全に施行が可能であり,血中AFP値は10例中4例で35%以上抑制,腫瘍径の縮小傾向を11例中2例に認めた.従ってLAK細胞を用いた養子免疫療法はHCCに対する集学的治療の一翼として検討に値すると思われた.

著者関連情報
© 社団法人 日本肝臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top