肝臓
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急性肝不全モデルに関する実験的研究-自己免疫性肝炎モデルマウスに発現した広範性致死性肝壊死について-
小川 真森 義雄森 照男上田 志朗吉田 弘道加藤 功畦元 亮作家里 憲二若新 洋子若新 政史奥田 邦雄
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1987 年 28 巻 9 号 p. 1226-1232

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抄録

近交系C57BL/6(B6)マウスに同系肝抗原をFreund's complete adjuvant (FCA)と共に免疫して実験肝炎を発症させた後,大腸菌菌膜成分のlipopoly-saccharide (LPS)を投与し,病態及び肝組織像を検索した.25μgのLPS(正常B6マウスLD50の約1/20量)1回投与により,48時間以内に約60%が死亡し,生存マウスにも広範な肝壊死と血中GOT, LDH等の増加がみられた.他臓器にはほとんど変化は認められなかった.一方正常B6マウスにFCAのみを投与したコントロールマウスに同量のLPSを投与した群では軽度の肝細胞変性を認めるにとどまった.肝抗原とFCAを1又は2回免疫したマウスにLPS投与を行なっても劇症化は起こらず,予め十分な単核球浸潤を伴う肝炎像の成立している事がLPS投与後の肝障害劇症化に重要と思われた.また肝壊死の発症にはマウス個体差及びstrain差がみられ,肝壊死像はB6マウスに強く,BALB/Cでは循環不全を主体とした変化が認められた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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