1988 年 29 巻 1 号 p. 92-97
劇症肝不全で発症した悪性リンパ腫の1例を経験したので報告する.症例は24歳女性で,黄疸・意識障害で入院し,DICおよび急性腎不全を合併し急速な死の転帰をとった.剖検所見では,肝はグリソン鞘を中心に腫瘍細胞が浸潤し,広範性肝細胞壊死が見られた.腹腔・胸腔内リンパ節は腫大し,その組織像よりびまん性多形細胞型悪性リンパ腫(LSG分類)と診断した.臨床上の特徴として,白血球の著明な減少と異型リンパ球の出現,CRP反応強陽性およびLDH・尿酸の著しい高値が見られた.