肝臓
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肝の過形成性変化を伴った原発性胆汁性肝硬変の一剖検例
荒川 正博鹿毛 政義中原 俊尚向坂 健男久保 保彦
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1989 年 30 巻 7 号 p. 801-804

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抄録

広範な肝の過形成病変を伴った原発性胆汁性肝硬変(PBC)の一剖検例を経験した.症例は50歳,女性で生前に肝生検,抗ミトコンドリア抗体が陽性でPBCの診断がなされており,原因不明の呼吸不全で死亡した.肝は730gと萎縮しているが肝硬変の像なく,割面では肝細胞の過形成による白色の結節を無数に認めた.本例は軽度の食道静脈瘤,脾腫がみられ,組織学的に末梢門脈枝の狭小化,潰れがみられた.これらの所見から,この結節形成には門脈圧亢進をきたすような肝内門脈の血流障害が関与していることが示唆された.Nakanumaはwedge biopsyで早期のPBC 26例中9例にnodular hyperplasiaをみとめ報告しているが剖検例での報告はみあたらない.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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