肝臓
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腹腔-静脈シャントが奏効した難治性腹水の3症例
術前後における血中心房性ナトリウム利尿ホルモン(α-hANP)の検討
窪山 信一野口 和典坂本 雅晴秋吉 冬彦神田 和久山下 文彦吉田 博佐々木 英豊永 純麻生 重仁江口 尚久谷川 久一
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1991 年 32 巻 1 号 p. 85-90

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抄録

難治性腹水を有する非代償性肝硬変患者3例に対し,腹腔-静脈シャント術を施行した.術後,合併症もなく,腹水の著明な改善をみた.術前高値であった血中心房性ナトリウム利尿ペプチド(a-hANP)は,術後早期には一時的にさらに高値を示したが,腹水の減少とともに漸減し,術後後期には術前よりも低値となった.
同時に測定した,中心静脈圧,一日尿量,ならびに他の血中ホルモン動態の変化と合わせると,術前のα-hANP高値は,腹水貯留状態,および腎でのナトリウムと水の再吸収増加という病態が関与しているものと推測された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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