肝臓
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HBウイルスキャリアにおけるC型肝炎ウイルス重感染に関する研究
HBV濃厚感染地区例による検討
樋口 庄市
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1991 年 32 巻 12 号 p. 1085-1092

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抄録

肝疾患多発地区において,非B型肝疾患例の病因としてのHCV関与に加え,HBVとHCVの重感染例における相互干渉作用の有無を検討する目的で種々のHBVマーカー,HCV関連抗体を測定した.対象774例中HCV関連抗体陽性者はanti-C100 72例(9.3%),anti-Core 79例(10.2%)と高率であった.なかでもHBs抗原陰性の肝機能異常群132例におけるHCV関連抗体陽性者はanti-C100 33例(25.0%), anti-Core 35例(26.5%)であり,この群の肝機能異常にHCVの関与が推察された.97例のHBVキャリアにおけるHCV関連抗体陽性率もanti-C100 9例(9.3%), anti-Core 8例(8.2%)と高率であった.
HBVとHCVの重感染群はHCV関連抗体陰性のHBVキャリア群に比しDNA-P値は有意に低く,HBs抗原の力価,HBe抗原陽性者の頻度は低かった.また,重感染群はキャリア群に比し200倍希釈血清におけるHBc抗体の抑制率が有意に低いことより,HBVとHCVの重感染によりHBVの活動性や増殖性の低下が示唆された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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