肝臓
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初代培養肝細胞の温熱耐性と熱ショック蛋白72の局在に関する研究
長尾 泰孝岡上 武伊藤 義人森本 道雄香川 恵造加嶋 敬山口 希今西 二郎
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1991 年 32 巻 5 号 p. 505-511

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抄録

初代培養肝細胞を用いて温熱刺激(heat shock: HS)時のstress fibers (SF), cell viability (CV), heat shock protein 72 (HSP 72)について検討した.SFは43℃, 45℃のHSにてCVの低下に先行して迅速に消失し,軽度のHSでは可逆的に回復した.SFの消失は可逆性の早期の細胞障害の指標となり得ると考えた.CVはMTT法とmethylene blue法で測定したが,HS時のCV測定値はMTT法の方が著明な変化を示した.初代培養肝細胞の温熱耐性は43℃ 20分間のHSによって時間とともに獲得され,8時間から12時間で最大であり,それには核小体へ集積するHSP 72が重要な役割を果たしていることが示唆された.これらの成績は,癌温熱療法の治療成績の向上に役立つものと考えられる.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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