1995 年 36 巻 6 号 p. 375-380
成人期のHBV初感染からHBV carrierとなった2例に対して,インターフェロン(IFN)療法を施行し肝機能の正常化とともにHBs抗原の消失を認めた.症例1は,急性B型肝炎の経過中に重症化を懸念しステロイド剤を使用したところ,肝機能は正常化したもののHBs抗原は持続陽性となった.急性肝炎発症後8ヵ月めの時点よりIFN療法を施行した.IFNの一時的中断後急性増悪を認めたがIFN療法の再開にて肝機能の改善とHBs抗原の消失をみた.症例2はHBV感染後グリチルリチン製剤(以下SNMC)を使用したところ症例1と同様肝機能は正常化したもののHBS抗原は持続陽性となった.急性肝炎発症から9年後の肝機能の上昇後にIFN療法を施行し,同様にHBs抗原の消失を認めた.IFN療法は,このように感染期間の比較的短い慢性B型肝炎症例に対しては非常に有効な治療法になると考えられた.