1996 年 37 巻 1 号 p. 42-49
肉腫様細胞(SC)成分を伴う肝細胞癌(HCC)の2剖検例を各種指標で用いた免疫組織化学的染色結果を加えて病理組織学的に検討した.2症例ともHCC成分とSC成分間に移行像を伴うとともに症例1では両成分にマロリー体の出現を認めた.免疫組織化学的染色結果では,症例1の両成分にα-フェトプロテインの発現を,症例2では両成分の一部にCEAの発現を認めた.さらに2症例ともに両腫瘍成分は胆管細胞としてのCK発現像を示した.以上の結果をもとにSC成分を伴うHCCの組織起源について文献的考察を加えて報告する.