肝臓
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アルコール性肝疾患患者における血清hHGFの測定
肝線維化との相関を中心に
丸山 勝也岡崎 勲和田 則仁高橋 久雄奥山 啓二横山 顕中野 雅行石井 裕正
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1996 年 37 巻 3 号 p. 152-158

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抄録

肝生検を施行し得たHBs抗原,HCV抗体共に陰性の各種アルコール性肝疾患患者を対象として,肝生検時の血清ヒト肝細胞増殖因子(hHGF)を測定した.アルコール性肝疾患患全体および,症例数の少ない脂肪肝,アルコール性肝炎を除く各種肝疾患群において,文献上の健常群と比較して有意な高値を示した.また肝硬変症では脂肪肝を除くすべての疾患群に比し有意な高値を示した.
血清hHGF値は肝の組織学的所見のうち肝線維化の程度とのみ良好な相関を示した.さらに血清hHGF値は,アルブミンやコリンエステラーゼの他にIV型コラーゲン,ラミニンなどの肝線維化を表す検査値と良好な正の相関を示した.
血清hHGF値は断酒後低下したが,それぞれの時点でも肝線維化の程度や血清線維化マーカーであるラミニン値と有意な相関を示した.血清hHGF値は肝線維化と何らかの関連を示しているものと推測された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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