抄録
大型肝癌に対する経皮的エタノール注入療法 (percutaneous ethanol inj ection therapy: PEIT) の有効な治療効果判定法を確立するために, 水溶性造影剤混合エタノール注入療法 (CM-PEIT: contrast medium-PEIT) を考案し, その基礎的, 臨床的検討を行った. 基礎的検討では, DAB誘発ラット肝癌にエタノールと水溶性造影剤 (Iopamidol 370) を各種濃度に調製した混合液を注入した. 70%造影剤混合エタノールを注入した直後の軟X線撮影で肝癌全体が造影された肝癌群は, その摘出標本の最大割面すべてが組織学的に壊死に陥っていた. 臨床的検討では, 大型肝癌に対して70%造影剤混合エタノールを注入するCM-PEITを施行した. CM-PEIT後のX線CT, 単純X線撮影における腫瘍造影像の検討で, 肝癌結節の腫瘍造影範囲は, 肝切除および剖検標本における組織学的壊死範囲とほぼ一致した. CM-PEITは, 大型肝癌に対するPEITの治療効果判定法として有用であることが示唆された.
