1999 年 40 巻 8 号 p. 466-470
症例は22歳女性. 既往歴, 家族歴に特記すべきことはなく, 飲酒歴もない. 2週間前より感冒様症状が出現し全身倦怠感を主訴に当科受診, 急性肝炎の疑いにて平成9年11月末入院となった. 検索し得た範囲で各種ウイルスマーカー, 自己抗体はすべて陰性, 薬剤歴もなく原因は明らかではなかった. 肝障害は比較的速やかに改善した. 平成10年1月中旬に妊娠12週と判明したが, 1月下旬になり汎血球減少を来し, エコー上羊膜下血腫が認められたため妊娠中絶となった. 中絶後も汎血球減少は進行し, 骨髄穿刺にて再生不良性貧血と診断された. 妊娠については偶然の合併と考えられた. 急性肝炎に伴う再生不良性貧血は比較的まれとされており, 原因ウイルスは不明のことが多いが, 本症例も近年注目されているTTV, パルボウイルスB19も含め検索し得た範囲で各種ウイルスマーカーはすべて陰性であった.