肝臓
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3者3様の病態を呈した原発性胆汁性肝硬変の同胞例
小泉 英子小野塚 靖柴田 実山上 朋之牧野 博之上野 幸久
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2001 年 42 巻 12 号 p. 651-657

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抄録

3名の原発性胆汁性肝硬変 (primary biliary cirrhosis: PBC) 同胞例を報告する. 症例1, 64歳, 男性. 1978年輸血後急性肝炎に罹患し経過遷延. 1980年肝生検で慢性活動性肝炎と診断 (後にHCV抗体陽性, HCV-RNA陽性と判明しC型慢性肝炎と診断). 1981年よりIgMが漸増し, 抗ミトコンドリア抗体 (anti-mitochondrial antibody: AMA) が陽性であることから, PBCを疑い肝生検を施行, Scheuer I期のPBCと診断, 初診の28年後の現在なお診療継続中. 症例2, 76歳, 女性 (症例1の姉). 1999年から膝関節痛, 全身掻痒感, 乾燥症状が出現. 肝機能検査では, トランスアミナーゼ, 胆道系酵素の軽度上昇が認められた. AMA陽性, 肝生検を施行し, Scheuer II期のPBCと診断. 症例3, 57歳, 女性 (症例1の妹). 1996年頃から手指の痒み, こわばり, 乾燥症状が出現. 肝機能検査は正常であるが, AMA陽性であることから, 肝生検施行. Scheuer I期のPBCと診断. 3例はそれぞれ病態が異なっていた. わが国ではPBCが3例以上集積した家系は報告されておらず, PBCの家族内発症を考えるうえで貴重な症例と考え報告した.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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