肝臓
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経過観察中に自己免疫性溶血性貧血を合併した原発性胆汁性肝硬変の1男性例
山浦 高裕吉澤 要尾崎 弥生丸山 敦史西澤 好雄折井 幸司六波羅 明紀一條 哲也松本 晶博田中 栄司清澤 研道
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2001 年 42 巻 5 号 p. 262-267

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抄録

症例は51歳, 男性. 1993年1月の健康診断にて肝機能障害を指摘され, 1994年4月来院した. 血液検査にて胆道系優位の肝機能障害を認めた. 抗ミトコンドリア抗体陰性であったが, 腹腔鏡下肝生検にて慢性非化膿性破壊性胆管炎を認めたため原発性胆汁性肝硬変 (PBC) と診断した. その後外来にて ursodesoxycholic acid にて加療を行っていた. 2000年3月上旬より易疲労感が出現. 血液検査にて貧血と黄疸を認めたため入院となった. LDHの高値, 網状赤血球の増加, ハプトグロビンの低値を認めたため溶血性貧血を疑った. さらに直接, 間接 Coombs 試験ともに陽性, IgG赤血球抗体を認めたため自己免疫性溶血性貧血 (AIHA) と診断した. prednisolone の投与にて貧血, 黄疸, 肝機能の改善を認めた. PBCにAIHAが合併した男性症例は極めて稀で貴重な症例と考え報告した.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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