肝臓
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腹水合併肝硬変における細菌感染症の検討
静間 徹小幡 裕橋本 悦子林 直諒
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キーワード: 腹水, 肝腎症候群
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2002 年 43 巻 10 号 p. 446-452

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抄録

腹水を合併した肝硬変患者327例を対象に, spontaneous bacterial peritonitis (SBP)・monomicrobial nonneutrocytic bacterascites (MNB) 症例について検討した. SBPの頻度は8.3% (27/327例), MNBは2.4% (8例) であり, SBP症例と肝硬変腹水例との比較では, SBP症例で血清 albumin 値が低い傾向にあったものの, 腹水蛋白濃度・pH, 肝腎機能検査所見に有意差は認めなかった. またSBP症例における2カ月以内の短期死亡率は37.0%(10/27例)であり, 死亡例で有意に診断時の肝腎機能が低下していた. なお肝腎症候群を併発したSBP 9例・MNB 3例では, 全例が1カ月以内に死亡しており, 発症から2カ月以上生存した症例における1年生存率は, SBPで42.9% (6/14例), MNBで80% (4/5例) であった.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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