HBVキャリアには様々な病態が存在するが, 明瞭なステージ分類が存在せず, 客観的な病態把握が困難である. そこでHBVマーカー, ALT値, 年齢および発癌リスクによるHBVキャリアのステージ分類を考案し, それに基づく治療方針について検討した. ステージ0: HBe(e) 抗原陽性, ALT正常値持続の無症候性キャリア. ステージI: e抗原陽性, ALT異常値でHBV-DNA (DNA) 量が107.6copies/ml以上 (若年例: ステージIa, 高年例: ステージIb). ステージII: e抗原陽性, ALT異常値でDNAが107.6copies/ml未満 (若年例: ステージIIa, 高年例: ステージIIb). ステージIII: e抗原陰性, DNA 105 copies/ml以上. ステージIV: e抗原陰性, DNA 105copies/ml未満. ステージV: HBs抗原が消失した状態. 今回考案したステージ分類はHBVキャリアの病期の把握と治療選択に有用と考える.