2004 年 45 巻 3 号 p. 153-159
症例は30歳女性. 27歳時ケトアシドーシスを発症し, インスリン依存型糖尿病(IDDM)として加療を行っていたが, 血糖値のコントロールは不良であった. 平成14年7月, 近医にて肝腫大を指摘され, その精査のため当科入院となった. 入院時, 肋骨弓下4横指の肝腫大と肝胆道系酵素の上昇を認めた. 腹部超音波検査では bright liver として描出されたが, CT検査で肝は脾臓よりも高吸収で脂肪肝は否定的であった. 肝生検組織では肝細胞は腫大淡明化し, グリコーゲンの沈着を認めた. 入院後, 厳格な食事療法とインスリン療法により, 肝腫大の縮小とともに肝胆道酵素の改善を認めた. 以上より本症例はIDDMコントロール不良により発症したグリコーゲン沈着肝腫大と診断した.