日本顔学会誌
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学術論文
アイシャドウの色の好みに関わる脳活動:fMRIによる検討
木村 孝行藤原 寿理大塚 千恵東 竜太永福 智志萩野 亮五十嵐 啓二増渕 祐二
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2023 年 23 巻 2 号 p. 69-80

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抄録

本研究では、fMRIを用いて、アイシャドウの色の嗜好性とそれに関連した脳活動について検討した。また、アイトラッカーを用いて、アイシャドウの有無およびマスクの有無顔に対する他者からの視線変化についても検討した。被験者毎に好きな色/嫌いな色/どちらでもない色のアイシャドウ使用および未使用時の顔写真をマスク有無別に撮影した。自己顔のコントロールとして、同アイシャドウを使用した他者顔写真(全被験者共通)も被験者毎に用意した。fMRIスキャナ内では、これらの写真に対する好み度を評価させ、その間の脳活動を計測した。

自己顔に対する顔写真評価の結果、嫌いな色に比べて好きな色のアイシャドウ使用時の評価が高くなった。この評価の差は背側線条体で表現されており、好きな色のアイシャドウ使用時の自己顔を見た際、脳内では高次の価値や報酬と同様の情報処理が行われていることが示唆された。また、好きな色のアイシャドウ使用時には、マスク無しに比べてマスク有りの評価が高いことや、嫌いな色に比べてどちらでもない色への評価が高いことも示された。これらの評価は線条体、後部帯状皮質および側坐核でそれぞれ表現されており、マスク着用に伴いポジティブな情動が喚起されたことや、普段使用しない色のアイシャドウに対して、興味や関心が引き出された可能性が示唆された。加えて、視線変化の計測では、マスク着用時に他者からの目元への視線が集まることが示された。

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