抄録
作期を変えて栽培した水稲(農林29号)の出穂期にイネ馬鹿苗病菌の分生胞子を噴霧接種し, 得られた種籾からのFusarium菌発生を指標として汚染率を調査した. その結果, 汚染率は接種日前後の気象条件, とくに日平均気温と関係が深く, 高温期の接種ほど汚染率が高い. しかし, 接種日ごろの日射量が極度に少ないことも汚染率を高めるようである.
数種の有機水銀剤を用い, 種々の処理方法で汚染籾の種子消毒効果を試験した. その結果, 現在の有機水銀剤ではどのような処理方法によっても完全に本病を防除することはできなかったが, 浸種籾消毒は乾燥籾処理よりも効果が高く, 消毒後の浸種・催芽は発病を多くするようであった.