関西病虫害研究会報
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原著論文
  • 伊佐川 慧, 井上 孝夫, 田口 雄大, 香川 秀人, 門田 亘史, 牧野 隆沙, 樋口 博也
    2022 年 64 巻 p. 1-6
    発行日: 2022/05/31
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル フリー

    ホソハリカメムシは,イネが出穂すると水田に飛来侵入し,穂を加害することで斑点米を発生させる。本研究では,ホソハリカメムシの卵寄生蜂の種とその寄寄生率の推移について,2019年と2020年の2年間,滋賀県大津市のイネ科植物が繁茂している草地で調査を行った。ホソハリカメムシの卵寄生蜂は,ハチ目クロタマゴバチ科のヘリカメクロタマゴバチ,Gryon marina,ホソヘリクロタマゴバチおよびハチ目トビコバチ科のカメムシタマゴトビコバチの4種であった。2年間の調査では,これら卵寄生蜂の寄生率は低く推移した.ホソハリカメムシ卵に対して寄生率が高かったのはG. marinaであった。G. marinaについては寄主範囲の報告はなく,ホソハリカメムシの卵に寄生することを初めて明らかにした。ヘリカメクロタマゴバチ,ホソヘリクロタマゴバチおよびカメムシタマゴトビコバチは寄主範囲が広いことは報告されているが,ホソヘリクロタマゴバチとカメムシタマゴバチについては,ホソハリカメムシの卵を寄主とすることを明らかにした。

  • 北野 弘祐, 新城 光太郎, 末釜 碧斗, 橘木 隼人, 筈見 幸樹, 吉田 匡宏, 市川 愛実, 岩崎 満里奈, 香里 壮一, 野村 駿介 ...
    2022 年 64 巻 p. 7-11
    発行日: 2022/05/31
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル フリー

    滋賀県で,ホソハリカメムシ成虫に休眠を誘起する臨界日長は13~14時間であった。野外では9月になると卵巣小管内に成熟卵を持たない休眠雌の割合が増加したことから,これら休眠雌は気温の低下とともに越冬地へ移動していくことが示唆された。春に,休眠から覚醒したホソハリカメムシ雌は,4月上旬には越冬場所を離脱し,4月下旬には交尾を済ませ産卵を開始すると考えられる。

  • 井村 岳男
    2022 年 64 巻 p. 12-17
    発行日: 2022/05/31
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル フリー

    ナスとインゲンの施設栽培において,ボーベリア・バシアーナ乳剤を約1週間間隔で3回散布し,それぞれの作物に発生していた病害虫に対する同時防除効果を検討した。ナスでは発生していたタバココナジラミバイオタイプQ,カンザワハダニ,モモアカアブラムシおよびうどんこ病に対する防除効果が認められた。インゲンではタバココナジラミバイオタイプQ,ナミハダニ黄緑型,カンザワハダニに対する防除効果が認められた。また,インゲンで発生したタバココナジラミバイオタイプQの寄生バチによるマミーと,ハダニ類を捕食するカブリダニ類に対する,本剤散布による直接的な影響は認められなかった。

  • 春木 洋人, 上田 昇平, 平井 規央
    2022 年 64 巻 p. 18-22
    発行日: 2022/05/31
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル フリー

    近畿地方に最近侵入したヨツモンカメノコハムシLaccoptera nepalensisの季節消長を調べるために,2021年5~12月に月1回大阪府南部で野外調査を行った。調査では,ノアサガオ5カ所とサツマイモ3カ所を対象とし,幼虫,蛹,成虫の個体数を記録した。その結果,ノアサガオでは,本種成虫は5~12月の全ての月で確認され,6月に密度が低下したものの,その後は横ばいもしくは緩やかに増加した。幼虫は6月以降すべての地点で確認され6,9,10月に密度がやや高かった。サツマイモでは,地点によって7~9月に最初の成虫が認められ,いずれの地点でも9月と10月に密度が高かった。幼虫は,8~11月に見られた。本種のこの地域の個体群について,さまざまな温度・日長条件で飼育実験を行った結果,いずれの発育ステージでも温度が高くなるほど発育期間が短く,20°Cにおける産卵から羽化までの期間は約54日,27°Cでは約31日であった。本種の産卵から羽化までの発育零点(t0)は10.8°C,有効積算温度(K)は500日度であった。得られた発育零点と有効積算温度から野外における年間世代数を推定したところ,大阪府南部では約3世代が可能と推定された。

  • 木村 重光
    2022 年 64 巻 p. 23-27
    発行日: 2022/05/31
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル フリー

    数種のウイルスでは大豆への感染によって,子実に褐斑を生じさせることが報告されている。また,低温などの環境要因による種皮着色突然変異に起因する着色粒の発生も報告されている。着色粒は種皮に複数の亀裂を伴うことがある。Senda et al.(2017)は,リグニン沈着が着色種皮組織の物性を変化させることで,褐色粒には裂皮を生じると示唆している。

    PSVの感染により既報のとおり黒大豆に斑紋粒が生じることが確認された。フロログルシノール染色による組織化学的解析により,斑紋部の種皮下にはリグニンの沈着が確認された。斑紋部の種皮からはPSVが検出され,大豆(品種:エンレイ)への接種によって,未熟種皮斑紋部には感染性のあるPSVの存在も確認された。本試験の結果から,PSV感染が黒大豆種皮上の赤褐色斑紋や種皮表面の裂皮に関係していることが示唆された。

  • 松田 健太郎, 松野 和夫, 土井 誠, 片山 晴喜
    2022 年 64 巻 p. 28-35
    発行日: 2022/05/31
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル フリー

    静岡県内の斑点米カメムシ類の種構成を,地域別に調べた。その結果,静岡県東部地域では斑点米カメムシ類の数は少なく,アカスジカスミカメの割合も低かった。一方,静岡県西部地域では斑点米カメムシ類の数は多く,アカスジカスミカメの割合も高かった。水田畦畔および周辺雑草地におけるネズミムギの発生ほ場率とアカスジカスミカメ捕獲数との間には,弱い正の相関が認められた。加えて,2018年以降,静岡県西部地域では,イネカメムシの割合が高くなった。アカスジカスミカメ成虫に対する4薬剤(MEP乳剤,エチプロールフロアブル,エトフェンプロックス乳剤およびジノテフラン水和剤)の殺虫効果を調べた。その結果,いずれの薬剤も殺虫効果が認められ,特にMEP乳剤およびエトフェンプロックス乳剤の効果が高かった。

  • 堀川 英則, 大橋 博子, 石川 博司, 内田 祐太, 伊藤 涼太郎, 石井 直樹, 永井 裕史, 閏間 貞雄, 大野 徹, 松崎 聖史
    2022 年 64 巻 p. 36-42
    発行日: 2022/05/31
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル フリー

    モモせん孔細菌病の春型枝病斑の早期の発見と切除を目的として,その発生前の生育状況と病斑発生について把握するため,2016年,2017年及び2021年の計3年間,愛知県長久手市内のモモ“日川白鳳”栽培ほ場にて調査した。春型枝病斑が発生した枝は発生しなかった枝と比較して,葉芽の発芽率が低く,枝ごとの平均葉長が短く推移する傾向が見られた。

    また,2017年と2018年において発芽期から収穫終了までモモせん孔細菌病に対する化学的防除を実施しないほ場で春型枝病斑の早期切除を実施した。早期切除を実施した区では早期切除を実施しない区と比較して2017年と2018年ともに葉における発病が低下する傾向が見られた。そして,早期切除した枝と健全枝からのモモせん孔細菌病菌の分離頻度は,早期切除した枝の方が健全枝よりも枝の表面からの検出率が増加した。

  • 小澤 朗人, 内山 徹, 金子 修治
    2022 年 64 巻 p. 43-51
    発行日: 2022/05/31
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル フリー

    静岡県の複数チャ園において,クワシロカイガラムシの合成性フェロモン剤をルアーとしたフェロモントラップに捕獲される昆虫類を3年間調査した。その結果,トラップには,クワシロカイガラムシ雄成虫と,クワシロカイガラムシの土着天敵類のナナセツトビコバチ,チビトビコバチ,サルメンツヤコバチ,捕食性タマバエ類などが捕獲された。フェロモントラップとブランクトラップによる3年間の総捕獲数の比率は,クワシロカイガラムシで4.4~6.0倍,ナナセツトビコバチで323~685倍,チビトビコバチ,サルメンツヤコバチでそれぞれ0.8~1.5倍,0.9~1.5倍,捕食性タマバエ類で0.8~1.2倍であった。統計解析の結果から,クワシロカイガラムシの性フェロモンは,クワシロカイガラムシ雄成虫とナナセツトビコバチ雌成虫のみを有意に誘引することは明らかであり,フェロモンはナナセツトビコバチに対してはカイロモンとして作用すると考えられた。世代別に集計したナナセツトビコバチの捕獲数は,クワシロカイガラムシの捕獲数との間に,有意な正の相関関係が認められた。両種の各世代における捕獲ピーク日の比較では,約1/2の世代でピーク日が一致し,両種が同調して発生することが示唆された。

  • 武田 知明
    2022 年 64 巻 p. 52-58
    発行日: 2022/05/31
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル フリー

    ベノミル剤とイミノクタジン酢酸塩剤の混用散布,テブコナゾール・トリフロキシストロビン剤の単用散布についてカンキツ緑かび病に対する耐雨性と残効性を検討した。その結果,ベノミル剤とイミノクタジン酢酸塩剤の混用散布は,散布後の累積降雨量が177 mmの条件下であれば約30日間は高い防除効果を維持した。また,室内試験の結果から300 mm程度の累積降雨があっても効果は低下しない可能性が示されたが,この点については圃場試験で確認する必要がある。テブコナゾール・トリフロキシストロビン剤は,耐雨性,残効性が劣るため緑かび病の防除においては実用性が低いと考えられた。

  • 山口 貴大, 井村 岳男, 北村 奈生子, 渕上 彩花, 姫野 孝彰
    2022 年 64 巻 p. 59-62
    発行日: 2022/05/31
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル フリー

    イチゴ栽培で発生するワタアブラムシについて,イチゴ小葉における存在頻度率から,小葉あたりの平均密度を推定する方法を検討した。また,テイラーのべき乗則および巌のm*-m回帰への適合性を検証した結果,テイラーのべき乗則への適合性が高かった。このことから,小葉あたり平均密度と寄生小葉率の関係を示す河野・杉野式への適合性を検討したところ,適合性は高かった。このことから,寄生小葉率によって小葉あたり平均密度を推定することは可能と考えられた。また,上述の推定式の係数から,調査小葉数を168枚とすることで,寄生小葉率が10~90%での平均密度を推定できると考えられた。

  • Kenji Fujimoto, Shiro Nakao
    2022 年 64 巻 p. 63-68
    発行日: 2022/05/31
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル フリー

    The biological control agent Haplothrips brevitubus (Karny) (Thysanoptera: Phlaeothripidae) exhibits female reproductive diapause, and the incidence of diapause under short-day conditions differs among geographical populations. The influence of storage at 5°C for 50 days on mortality in both diapausing and non-diapausing females and the number of eggs laid at 20°C were investigated in a strain with a higher diapause incidence. In addition, the inheritance of diapause was examined by crossing strains with higher and lower incidences of diapause. The survival percentage during cold storage in diapausing females was higher than that in non-diapausing females. However, the total number of eggs laid per survivor after cold storage did not differ between the diapausing and non-diapausing females. The crossing experiments showed that diapause is under polygenic control, and diapause-suppressing factors exist in both the autosomal genome and cytoplasm. Being able to keep diapausing females in cold storage might contribute to the achievement of low-cost, mass-produced, and high-quality H. brevitubus individuals for controlling pest thrips.

  • 弘岡 拓人, 増田 𠮷彦
    2022 年 64 巻 p. 69-74
    発行日: 2022/05/31
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル フリー

    クビアカツヤカミキリの産卵は,接ぎ木テープをモモ枝に巻き付けることで促進された。接ぎ木テープには伸縮性があるため,産卵管を挿入した際に産卵に適した隙間を形成したと考えられた。成虫の死亡および産卵数,食入幼虫数で評価すると,アセタミプリド顆粒水溶剤は成虫に対し高い接触毒性,シペルメトリン水和剤は高い産卵抑制効果が認められた。

  • 武田 知明, 菱池 政志, 沼口 孝司
    2022 年 64 巻 p. 75-80
    発行日: 2022/05/31
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル フリー

    和歌山県内のウメを栽培する19園地から分離されたC. carpophilumについて,クレソキシムメチルおよびアゾキシストロビンに対する感受性を調査した。まず培地検定を行った結果,クレソキシムメチルの検定に供試した41菌株は,EC50値が0.02~0.81 ppmの9菌株と100 ppmよりも大きい32菌株に分かれ,アゾキシストロビンの検定に供試した22菌株は,0.09~1.99 ppmの5菌株と69.2 ppm以上の17菌株に分かれた。いずれの薬剤のEC50値も2峰性を示し,値が大きい菌群については感受性が低下していると考えられた。次に,両剤のEC50値が100 ppmより大きい3菌株に対する防除効果を生物検定で調査した。対照の感受性菌1菌株に対する防除価はいずれの薬剤も100であったが,感受性が低下した3菌株に対しては,クレソキシムメチル水和剤の防除価が0~41.6,アゾキシストロビン水和剤の防除価が0~58.8と,両剤ともに明らかな防除効果の低下が認められた。以上のことから,本県におけるQoI剤耐性ウメ黒星病菌の発生が確認された。

  • 西 優輔, 綱島 健司, 畔栁 泰典, 安部 順一朗
    2022 年 64 巻 p. 81-88
    発行日: 2022/05/31
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル フリー

    スワルスキーカブリダニを放飼した促成栽培ナスにおける天敵温存植物の利用を想定し,スカエボラおよびスイートアリッサム,モナルダ,アゲラタム,バーベナの5草種を評価した。その結果,スワルスキーカブリダニの個体数は,茎葉上ではアゲラタム,花房上ではスイートアリッサムとスカエボラで多かった。バーベナとモナルダでは,茎葉上,花房上のどちらにおいても低密度であったことから,本天敵の保護・強化の機能は低く,実用性は低いと考えられた。一方,アゲラタムではナス害虫となり得る害虫類の発生が4種類と比較的多く,ナス圃場で利用する天敵温存植物として不適と考えられた。以上から,促成栽培ナス圃場における天敵温存植物としてスイートアリッサムとスカエボラが適していると考えられた。

  • 内橋 嘉一, 田中 敬, 田中 得久, 宇高 信一郎, 川口 藍乃, 松本 純一, 岩本 豊, 西口 真嗣
    2022 年 64 巻 p. 89-97
    発行日: 2022/05/31
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル フリー

    卵菌類のPeronospora belbahriによって引き起こされるメボウキ(バジル)べと病(BDM)に対する粒状PA肥料の抑制効果を評価した。ポット栽培バジルに,株当たり4 g又は8 g施用した噴霧接種試験では,いずれの区も発病を100%抑制した。また,同じ施用条件で罹病株接種すると,発病葉率が概ね100%の甚発生条件下で,4 g区で60%,8 g区で100%,有意に抑制した。一方,株当たり2~16 gの粒状PA肥料を移植後1ヵ月おきに3回施用した2019年の圃場試験では,処理区の発病葉率は無処理区に比べて各区概ね50%となり,発病を抑制した。しかし,株当たり4 g又は8 gを1回施用した2020年の試験では,4 g区は55%抑制したのに対して,8 g区は無処理区とほぼ同等であり,1回のみの施用では抑制効果が不安定であった。以上の結果から生育初期に充分なPAをバジルに吸収させると高い抑制効果が得られることが明らかになった。今後,BDM総合防除に向けて,バジル葉中PA濃度の閾値と効果との関係の解明と,それを保つための施用資材・方法の検討が必要である。

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