前報で述べた繊維性固体物質の大気中における無炎下降延焼の理論的考察を行なった。
まず,薄板について考察を進めるために,発熱は発熱部への空気供給量に比例し,放熱はその外界との温度差に比例するとし,さらに発熱部の温度分布を直線的とみなすなどの簡単化を行なった。このような燃焼モデルについて延焼速度の理論式を導いた。つぎに,試料形状を柱体および円管にした場合についてこの理論の拡張を行ない,薄板の場合と同様な仮定で理論式を導いた。これらの理論式は実験結果をよく説明することができる。
さらに,安定性の考察から,薄板および柱体の無炎下降延焼の特徴的な様相に,定性的ながら理論的説明を与えた。