一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
61回大会(2009年)
セッションID: 3H-7
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自然共生型住宅地における住環境実測調査
第5報 温熱環境の通年変化
*松井 智子東 実千代久保 博子磯田 憲生
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抄録

[目的]本研究は、奈良市青山に既存の自然環境を残して計画された住宅地で、残存する自然環境が住環境形成に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。本報では、調査対象住戸5戸のうち南向きである1戸の住宅に着目し、1年間の温熱環境の変動結果を報告する。
[方法]今回報告する南向き住宅は、木造住宅で吹き抜け構造となっている。冬期の暖房方法は床暖房であり、冷房器具は設置しておらず、OMソーラーが導入されている。測定項目は、室温(h:0.1m、0.6m、1.1m)、グローブ温度(h:0.6m)、床温、外気温(住宅地内百葉箱)、湿度(h:0.6m)である。測定は2005年7月より継続して行っている。ここでは、2008年の年間結果を報告する。
[結果]各居室における月毎の平均気温より、1階居間では7月に29.1℃と最高値を示し、2月に15.3℃と最低値を示した。この時の住宅地内の平均外気温は7月で26.2℃、2月で2.9℃であり、夏期よりも冬期において室温と外気温の差は大きくなる。また、1月から7月にかけて各居室間での温度差は広がる傾向にあり、7月では2階居室の方が地階よりも約4℃高くなる傾向が示された。一方で、8月以降は各居室間の温度差は徐々に小さくなり、12月では約1℃の差にとどまった。夏期の各居室の温熱環境は、地階を除き外気温の上昇とともに室温も上昇した。また上階へいくほど夜間において室温は下がりにくい傾向にあった。地階は昼夜に関わらず26~28℃を維持していた。冬期では、床暖房の影響を強く受けるが、床暖房を停止すると室温は1階居間よりも2階居室の方が緩やかに下降する傾向が示された。

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© 2009 一般社団法人 日本家政学会
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