一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
61回大会(2009年)
セッションID: 2E-6
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泡立て条件が起泡生クリームの性状と加熱・冷却速度に及ぼす影響
*水 珠子宮下 朋子長尾 慶子
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抄録

【目的】生クリームの泡立て程度を変えて調製した起泡クリームの物性と分散気泡の状態とが内部熱移動速度に及ぼす影響を追跡した。
【方法】材料は純生クリームとし、家庭用ハンドミキサーを用い、回転速度950/rpmとし、攪拌時間を変えて泡立て程度の異なる4種類 (泡立て度0,60,80および100%) の起泡生クリームを調製した。それらの熱伝導率、定圧比熱容量および密度を実測し、熱拡散率を算出した。同時に底面積1250㎟、高さ50mmの加熱・冷却用金属容器に試料を入れ、40~5℃の範囲で底面から加熱・冷却した際の内部一次元方向0,1,3,5,7および10mm各位置での昇温(加熱)ならびに下降(冷却)曲線より遅延時間定数τh ( x ) ならびに緩和時間定数τc ( x ) を求めた。比重およびオーバーランの測定より気泡含有率の算出、粘度測定での流動曲線からCasson降伏値および見かけの粘度の算出、検鏡による含有気泡の分散状況を観察した。
【結果】検鏡、比重およびオーバーラン測定の結果、最大気泡含有率87.4%を示し、泡立て度を高めることで細かい気泡が均質に分散した。粘度測定の結果、起泡生クリームは降伏値を有する塑性流動体であり、泡立て度を高めるとCasson降伏値、見かけの粘度共に増大した。熱伝導率および密度は泡立て度の高い方が低く、加熱温度が高い方が高値を示した。比熱容量は逆の傾向を示した。熱拡散率および加熱時の遅延時間定数τh ( x ) ならびに冷却時の緩和時間定数τc ( x ) の逆数も泡立て度に依存し、泡立て度100%で最小値を示した。すなわち、泡立て度100%の起泡生クリームは、内部熱移動速度が緩慢で、加熱・冷却時間が長くなることが明らかとなった。

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© 2009 一般社団法人 日本家政学会
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