一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
61回大会(2009年)
セッションID: 2P-16
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メラニン生成に対するテアフラビンの影響
*山岡 由理子
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抄録

[目的]紅茶は世界的に飲まれている最もポピュラーな飲み物のひとつである。紅茶にはテアフラビンと呼ばれる紅茶特有のポリフェノール類が含まれており、構造の違いから、theaflavin (TF-1)、teaflavin-3-gallate (TF-2a)、theaflavin-3’-gallate (TF-2b) 、 theaflavin-3,3’-digallate (TF-3)の4種類が知られている。テアフラビンの作用として、抗酸化作用や抗ガン作用などが報告されているが、カテキンほど研究がされていないのが現状である。そこで今回は、皮膚細胞の重要機能のひとつであるメラニン生成能に着目し、本機能に対するテアフラビンの影響について培養細胞系を用いて検証した。
[方法]メラニン生成細胞としてマウスB16メラノーマ細胞を使用し、メラニンの合成は、メラノサイト刺激ホルモンの添加により誘導した。細胞内におけるメラニン合成酵素のタンパク質発現はWestern blot法、mRNA発現はRT-PCR法を用いてそれぞれ解析した。
[結果および考察]B16メラノーマ細胞を用いて、メラニン生成能に対する各テアフラビン添加の影響を調べた結果、TF-3に強いメラニン生成抑制作用が認められた。その作用は、陽性対照のコウジ酸よりも強いことがわかった。さらに、メラニン合成の律速酵素であるチロシナーゼの発現解析を行ったところ、TF-3処理した細胞ではチロシナーゼのmRNAならびにタンパク質発現が低下していることが示され、TF-3のメラニン生成抑制作用はメラニン合成酵素の発現を遺伝子レベルから抑制することに起因する可能性が示唆された。

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